[伊都]農業ロボットや無線、AI等先端技術を活用した省力化稲作支援サービスの実証プロジェクトを開始
中山間地域等の条件不利農地の耕作放棄を抑制する、持続可能な稲作モデル確立へ
九州大学 農学部附属農場 の安彦友美助教が参画するプロジェクトの開始が、株式会社テムザック社からプレスリリースされました。
株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社テムザック、株式会社パルシベイト、株式会社コヤワタオフィスは、宮崎県延岡市などをフィールドに、中山間地域等に多い小規模・変形農地といった条件不利農地で活用できる、無線やロボット等技術を用いた省力化稲作支援サービスを構築する実証プロジェクトを、2025年6月より開始しました。総務省が公募した「地域社会DX推進パッケージ事業(先進無線システム活用タイプ)」に採択され実施するもので、本プロジェクトの成果をもとに、耕作継続が危ぶまれる農地での省力化稲作支援を推進し、中山間地域における持続可能な稲作への貢献を目指します。
九州大学農学部附属農場では、省力化具合と収量の合理性を評価する実証実験フィールドとして協力いたします。
■課題と背景
昨今の米価高騰を受け、農業、特に米の生産量確保や稲作継続への関心が高まっています。農業従事者の高齢化や人材不足が大きな課題となるなか、米の生産量を確保する手段として、農地・農家の大規模化や効率化が推進されています。一方で、大規模化には適さない農地・農家も多数存在しており、特に中山間地域に多い小規模・変形・農機等のアクセスが困難な条件不利農地では、機械化・自動化による効率化や生産量の向上が難しく、後継者不足と相まって耕作放棄に至ることが少なくありません。こうした条件不利農地の状況も背景に、国内の耕作放棄地(遊休農地)は年々増え続けて約42.3万ヘクタール(2015年農林業センサスより)となっています。
そこで本プロジェクトでは、無線技術、農業ロボット等の先端技術を活用し、中山間地域などの条件不利農地での省力化稲作支援サービスを開発し、実証実験を行います。本実証により、大規模化に適さない条件不利農地でも、省力化を図りつつ一定量の収益を確保できる環境を整備し、地域と連携のうえで作業者のマッチングや成果の期待できる新農法の適用まで行うことで、耕作放棄地の拡大を抑制し、条件不利農地での持続可能な稲作モデルを確立することを目標としています。
■実証実験の概要
今回の実証実験では、小規模農場に投入可能な小型の農業ロボットを稼働させ、衛星通信のStarlinkやWi-Fi HaLowTM(※)といった無線技術を使用して稼働状態の映像伝送を行います。遠隔でロボットの操作・監視を行うとともに、AIによってロボットの稼働状況や周囲の危険を検知するシステムを導入し、当該システムの動作の検証、およびロボットが代行できる作業の実用性や省力化の評価を行います。さらに、実証フィールドがある延岡市、延岡市北浦町農業公社、および国立大学法人九州大学とも連携し、近隣住民に農作業を委託する作業マッチング、再生二期作や陸稲など新たな栽培方法の導入による省力化と収量の合理性(バランス)の評価も実施します。
(※)通信距離が長い、低消費電力、電波が回り込みやすいという特徴を有するWi-Fi規格。
プロジェクトの詳細は、下記のテムザック社プレスリリースをご覧ください。